江戸の技、江戸の粋を受け継ぐ

3つの「勝」を誠実に貫き、自らを厳しく律し、高品質の製品を
お届けする-。
この創業の志を社名とし、三勝株式会社と名付けました。創業百余年を迎える今日、取り巻く社会環境は変化し、
長板本染、中形注染、正藍染は、工場、職人ともに数軒、数人の世界となってしまいましたが、
先達が創意工夫、研鑽してきたゆかたの染色技術の継承を事業の柱とし、
その上に新しいライフスタイル、ファッションの企画・開発を通して、広く社会に貢献したいと考えています。

瓢箪(商標)の由来

瓢箪は古来より、蔓が延び、果実が鈴なりになり、種も多いことから「開運招福」「子孫繁栄」「商売繁盛」など縁起の良いものと親しまれてきました。お酒や薬を入れて常に身近で使われていた“瓢箪”。また戦に勝つたびに腰の瓢箪を加え、やがて天下を治めた豊臣秀吉の馬印“千成瓢箪”や瓢箪を6つ揃えた「六瓢箪」は「無病息災」のお守りとして有名です。この“瓢箪”のいわれに因み、お召しになる方に「幸多かれ」と願い、瓢箪を商標としました。

三勝を担う人々

人間国宝

清水幸太郎 1897-1988(明治30年-昭和63年)享年91歳

三勝は「諸々の技法は一日にして成らず 祖神達の徳恵なり」と、 すべてが手作業による江戸からの染色技法・長板中形にこだわり続けてきました。

同時に熟練の技をさらに磨き、意匠に知恵を 絞り、素材、着心地を追求し、職人たちと共に研鑽努力しながらもの創りを続け、「長板中形なら三勝」と高い評価を得てきました。

三勝専属であった長板中形染工房「松吉」は、昭和11年に清水吉五郎が他界、清水幸太郎が親子2代にわたり専属職を引き継ぐこととなりました。

幸太郎の作品は、「これは人の手で型付けされたものか」と誰もが目を見張る、精巧無比、繊細で上品な江戸好みに仕上がり、一世を風靡。

昭和30年、清水幸太郎の長板中形の優れた染色技術は広く世に認められ、最高の技術保持者として重要無形文化財、 人間国宝に認定されました。


昭和42年 専属職人・清水幸太郎、勲五等雙光旭日章受賞

ゆかたの生き字引

清水敬三郎 1932-2021(昭和7年-令和3年)享年88歳

職人でなく問屋奉公をと、父・幸太郎の意向で昭和26年(1951年)専属職人清水幸太郎の三男・敬三郎が三勝に入社しました。

営業を経て、三勝意匠部へ配属。勤続70年の歴史だけでなく生家が染屋であることから90年の人生全てがゆかたにまつわるものでした。

その知識と経験は他に類を見ず、全国の型・織り・染め職人より問い合わせや交流がありました。

敬三郎が世に出したゆかたの数は10万反では済まない、と言っても大げさではありません。

父の仕事をする様を生まれながらに見てきた三男の敬三郎は、 晩年は、清水幸太郎の作品はじめ戦火から逃れた貴重な資料など大切に整理保存と意欲的にものづくりに励み、現代のゆかたの生き字引として、全国のゆかたにまつわる技術を指導し見守り続けた70年でありました。

襲名 天野半七

歌舞伎・人形浄瑠璃「艶容女舞衣」(はですがたおんなまいぎぬ)半七と三勝に寄せて

1代目 天野半七

一代目

二代目

三代目

四代目